スポーツで発生しやすい怪我を中心に慢性疾患に関しても解説しております。
気になる症状がございましたら是非参考にして下さい。
骨折とは「骨組織の連続性が完全あるいは部分的に離断された状態」を指します。
骨折にも様々な種類があり、骨損傷の程度、骨折線の方向、骨折の数、外力の方向などにより名称も様々です。
脱臼とは「正常な関節面相互の解剖学的位置関係を失っている状態」を指します。
脱臼にも様々な種類があり、脱臼の程度、関節面相互の位置、脱臼数、脱臼の頻度や時期などにより名称も様々です。
打撲とは「直達外力により発生した傷口を伴わない軟部組織の損傷」を指します。
野球のデッドボールやコンタクトスポーツのももかんなどが該当します。
捻挫とは「関節に生理的な可動域を超える動きが強制され、関節面相互の解剖学的位置関係が維持されている状態」を指します。
肉ばなれとは受傷経験に基づいた通称名であり、医学的にも用いられております。 急激な筋の過伸張、筋の過大な自動収縮 (特に遠心性筋収縮)、予期せぬ筋の運動 (協調運動の失調)などによって発生する筋線維または筋膜の部分断裂、過伸長、出血のことです。 下肢の二関節筋に多く発生し、ハムストリングス(大腿の後面)が最も多く、次いで下腿三頭筋(ふくらはぎ)、大腿四頭筋(大腿の前面)に多く発生します。腓腹筋内側頭の肉ばなれは中高年に多くテニスレッグとも呼ばれます。臨床的には①軽症 (わずかな筋線維の断裂) ②中等症(部分断裂)、③重症(完全断裂)の3段階に分けられます。
骨化性筋炎は筋組織内に起こる異常骨化であり、石灰沈着とは異なり骨梁構造が認められます。発生機序に関しては不明な部分が多く打撲などの外傷により発生することが多いです。
骨組織に反復性の外力が加わることによる骨の疲労現象であり、下肢に多く発生します。
・第7頚椎棘突起疲労骨折(ゴルフ)
・尺骨疲労骨折(ソフトボール、バレーボール、剣道)
・第1肋骨疲労骨折(剣道、ウェイトトレーニング)
・第5.6肋骨疲労骨折(ゴルフ)
・第7.8肋骨疲労骨折(野球)
・腰椎分離症(野球、バレーボール)
・坐骨、恥骨疲労骨折(長距離走、卓球)
・大腿骨疲労骨折(長距離走)
・膝蓋骨疲労骨折(サッカー、走高跳)
・跳躍型腓骨疲労骨折(うさぎ跳び)
・疾走型腓骨疲労骨折(長距離走)
・跳躍型脛骨疲労骨折(走高跳、ハードル)
・疾走型脛骨疲労骨折(長距離走)
・脛骨内果疲労骨折(ラグビー)
・中足骨疲労骨折(短距離走、長距離走)
成長軟骨板(骨端線)が痛くなる阻血性骨壊死であり子供の病気です。成長が止まるにつれ痛みがなくなることが多いですが、それまでの間に、成長軟骨板(骨端線)に機械的刺激が加わることで痛みや成長障害を発生します。
・シーバー病(踵骨)
・オスグッドシュラッター病(脛骨粗面)
・シンディングラーセンヨハンソン(膝蓋骨遠位)
・ペルテス病(大腿骨頭)
・キーンベック病(月状骨)
・イズリン病(第5中足骨基部)
・パンナー病(上腕骨小頭)
・第1ケーラー病(足舟状骨)
・第2ケーラー病(第2.3中足骨)
・ショーウェルマン病(背部)
・ブロート病(脛骨近位内側)
肉ばなれと間違われやすいですが、直達外力(直接加わる外力)で発生するため異なる病態です。大腿四頭筋(ももの前の筋肉)に多く発生し、深部での筋断裂や出血が生じると肉芽組織が形成され、最終的には線維性の瘢痕組織となり、最悪の場合、骨化性筋炎(異所性骨化)という危険な病態となってしまいます。数週間たっても可動域が改善せず、打撲部に硬いしこりがみられたら骨化性筋炎(異所性骨化)を疑いましょう。
肩の使いすぎ、不良なコンディショニング、不良な投球フォームなどの要因で発生する総称的な病名です。
「肩甲上腕関節内」
・スラップ損傷(上方関節唇損傷)
・ベネット骨棘(肩関節後下方)
・腱板損傷
・腱板疎部損傷
・後方関節包拘縮 etc.
「肩甲上腕関節外」
・肩峰下インピンジメント
・上腕二頭筋長頭腱炎 etc.
上腕骨近位骨端線離開のことであり、10歳~15歳の野球少年に多く発症します。また、過度な投球や不良な投球フォームが原因であるため、利き腕に発症します。投球は禁止し、トレーニング後はアイシング(冷却)をすることが重要です。
別名、動揺性肩関節と呼ばれ肩関節の構成に関わる筋や骨に異常がないにも関わらず肩の動揺性がや不安定感があるものを指します。投球時に不安定感がある場合がほとんどで、腕を下げた状態で下方に引っ張った際に肩に隙間ができるのも特徴です。
腱板は回旋筋腱板ともいわれ、前方から肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの腱からなり、各々の腱が一体化して上腕骨頭を覆っております。関節の外転、外旋、内旋の主動作筋は三角筋や大胸筋など表層の筋であり、腱板の主な作用は上腕骨頭を関節窩に押しつけ、安定性をもたらすことです。特に棘上筋は損傷を受けやすく、不調和な肩外転運動を繰り返すことが原因です。
野球選手に多く、肩関節の後下方に骨増殖による骨棘形成ができてしまう怪我です。症状が悪化するとクアドリラテラルスペースにおける腋窩神経が圧迫され肩の外側に痛みが出てしまう場合もあります。
野球選手に多く、投球動作時のコッキング期後半に肩関節が外転、外旋が強制されて発生することが多いです。痛みは投球動作のコッキング期からフォロースルー期に多く、肩の前側に発生します。
腱板(棘上筋が1番多い)や肩峰下滑液包が烏口肩峰アーチに繰り返し衝突することで発生します。投球動作ではコッキング期の最大外旋位から内旋位に向かう時に烏口肩峰アーチに擦れて発生することが多いです。また、水泳のクロールやバタフライでも発生することが多いです。症状は上肢(腕)を肩の高さより高く上げた時に痛みが出るのが特徴です。
別名、凍結肩や肩関節周囲炎とも呼ばれ、40歳以降に好発するため加齢や過労による肩関節複合体の変性が原因だといわれております。急性的に発症する場合と慢性的に発症する場合があります。炎症期→拘縮期→解氷期といった経緯をたどることが多く、症状によっては1年以上かかる場合も少なくありません。
石灰沈着性関節周囲炎とも呼ばれ、主に肩関節周辺にアパタイト結晶(カルシウムとリンを含む結晶)が沈着し炎症を引き起こすものです。40歳以上の女性に多く、症状は夜間に突然始まることが多く、痛みにより肩を全く動かせない場合もあります。
野球肘は投球動作に繰り返しによって起こる肘関節障害に対する総称的病名で、その中でも発育期に発生する骨端線の損傷を伴うものをリトルリーガーズエルボーと呼びます。障害される部位により内側型、外側型、後方型に分けられます。内側型では、前腕の屈筋群と円回内筋の繰り返しの張力によって起こる上腕骨内側上顆炎や骨端線離開、尺側側副靭帯損傷、骨端核異常などがあります。外側型では、橈骨頭からの圧迫力や回旋力繰り返し加わり上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、関節内遊離体(関節ねずみ)などが発生いたします。後方型では、加速期からフォロースルー期にかけて牽引力や張力により肘頭疲労骨折や上腕三頭筋炎、肘頭骨端線閉鎖遅延などがあげられます。
テニス肘は肘関節外側の伸筋腱付着部で発生する変性とオーバーユース(使い過ぎ)に起因する怪我を指します。特にテニスのバックハンドで痛みが発生することからテニス肘と言われております。もちろん、テニス以外の日常生活でも発生し、女性に多いのも特徴です。
手根管は手の平側にある屈筋支帯と手根骨で形成されるトンネルのことで、ここで正中神経が圧迫されることで手の平側が痺れるものを手根管症候群といいます。痺れは早朝に強く、手を振ることで軽減し、小指~薬指の半分は痺れないのが特徴です。
別名、尺骨神経管症候群とも呼ばれます。ギヨン管は手の平の小指側にある(豆状骨と有鉤骨により構成)トンネルのことで、ここで尺骨神経が圧迫され手の平側が痺れるものをギヨン管症候群といいます。手をつくスポーツや、長時間のサイクリングなどで発症することが多く、小指~薬指の半分まで痺れるのが特徴です。
手の屈筋腱(指を曲げる筋肉のスジ)に発症する狭窄性腱鞘炎で、MP関節掌側(指の付け根の手の平側)に発症します。女性に多く、母指(親指)に最も多く発症するのが特徴です。
DIP関節(指の第一関節)の変形性関節症です。初期は痛みや熱感、腫脹などの炎症症状を伴いますが、DIP関節背側(手の甲側)の骨性隆起が形成され変形が完成すると炎症症状は消失することが多いです。
PIP関節(指の第二関節)の変形性関節症です。初期は痛みや熱感、腫脹などの炎症症状を伴いますが、DIP関節背側(手の甲側)の骨性隆起が形成され変形が完成すると炎症症状は消失することが多いです。
投球動作の際に上腕骨に回旋力がかかり発生するものです。青壮年男性に多く、さらには草野球で好発することから筋力や投球フォームが原因であることが多いです。一度の大きな外力で発生するものと疲労性で発生するものに分かれます。
拳の突きによって起こる中手骨頚部骨折で骨折部より遠位(指側)が掌側(手の平側)に転位する変形が見られます。第5指に最も多く発生します。
ボクシングや空手など拳を握って殴打した際に生じるMP関節背側矢状索と関節包の損傷をボクサーズナックルといいます。約半数に伸筋腱(指の甲側のスジ)の脱臼を伴います。
スキーのストックによって母指MP関節が橈屈強制されて尺側側副靭帯が損傷することからスキーヤー母指と言われております。同様な損傷がバレーボールやバスケットボールでも発生します。断裂した尺側側副靭帯が母指内転筋筋膜を乗り越えることがあり、これをステナー損傷と呼びます。この場合は手術が適応になるほどの危険な状態です。
別名マレットフィンガーと呼ばれ、指尖部または背側から加えられた外力によってDIP関節が急激に屈曲強制されることにより発生し、野球やバレーボールなどの球技に多く発生します。ほとんどが非開放性損傷で痛みを伴うことが少なく、放置されてしまうことも少なくありません。
ラグビーなどの相手のジャージをつかんでDIP屈曲位で力を入れている指が過伸展される状態で発生します。深指屈筋腱の末節骨付着部で裂離骨折を伴う場合もあります。環指(薬指)に最も多く発生します。
骨盤には下肢の筋が付着しており、スポーツによる裂離骨折の好発部位です。
上前腸骨棘裂離骨折は骨盤裂離骨折の中で最も多く発生し、縫工筋や大腿筋膜張筋の牽引力により発生します。14歳~16歳に多く、大半は短距離の全力疾走中、次いでスタートダッシュ時にみられます。
下前腸骨棘裂離骨折は大腿直筋の牽引力により発生します。年齢は同じくらいでサッカーボールを蹴った際や跳躍の着地の際に発生することが多いです。
坐骨結節裂離骨折はハムストリングスの牽引力により発生し大きなストライドでのダッシュやハードルで大きく開脚した際などに発生します。安静肢位が保たれにくいため骨癒合が遅延することも少なくありません。
関節軟骨の直下で骨組織が関節軟骨とともに離断するもので、スポーツをしている20代に好発し男性の方が多いのが特徴です。15%~30%の確率で両膝に発生し、大腿骨内側顆部に多く発生します。
前駆症状としては膝の疲労感や脱力感があり、徐々に痛みが出てきます。患部が不安定になると運動する際の痛みが強くなり、完全に離断されると膝関節の可動域制限が起こり激痛を訴えることもあります。
成長期にスポーツなどにより、膝蓋腱の脛骨付着部(脛骨粗面)に機械的刺激が生じることにより発生し、痛みや腫れが起こります。10歳~15歳に好発し、サッカーボールを蹴るような動作で痛みが発生します。膝関節を最大限曲げる時に痛みが発生することも多いです。
別名、膝蓋腱炎や大腿四頭筋腱炎とも呼ばれます。オーバーユース(使いすぎ)が原因で発生し、膝蓋骨上端部に痛みを伴います。大腿四頭筋の強化やハムストリングスのストレッチ、運動後のアイシングなどが有効です。シンディングラーセン‐ヨハンソン病も広義のジャンパー膝に含まれますが膝蓋骨下端部に痛みが発生するのが特徴です。
膝蓋骨の一部が分離してしまう病態です。原因は様々だと言われており、多くは無症状ですがスポーツなどにより分裂部に牽引力が作用した際に痛みが発生することがあります。痛みがあるものを有痛性分裂膝蓋骨と呼びます。大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチが有効です。
半月板は線維軟骨からなり、荷重を分散させるために重要な組織です。荷重された状態で内外旋の力が加わると損傷します。中節(真ん中)から後節(後ろ側)にかけて損傷しやすいのが特徴です。10歳以下の場合は円板状半月によるものを多く、形態は水平断裂になることが多いです。階段昇降やしゃがみこんだ際に痛みが生じ、膝関節が動かなくなるロッキングが発生することもあります。
膝に外反力がかかり発生し、膝の靭帯損傷の中で最も頻度が高いです。不安定感があることもありますが膝内側の痛みだけの場合が多いです。
外側側副靭帯損傷、後外側関節包、膝窩筋腱などからなる組織の損傷です。膝が過伸展、外旋強制された際に発生することが多く、後十字靭帯損傷を合併することが多いです。
ジャンプの着地や急な方向転換などで受傷することが多いです。自覚上不安定感がなくても損傷している可能性はあり、半月板損傷や関節軟骨損傷、最終的には変形性膝関節症を発症してしまう可能性があるため注意が必要です。
交通事故やスポーツ外傷などで、膝屈曲位で脛骨前方に直達外力が加わった際に受傷することが多いです。ダッシュボード損傷と呼ばれることもあります。症状は前十字靭帯損傷より軽度のことが多いのも特徴です。大腿四頭筋強化が有効です。
膝蓋骨の脱臼、亜脱臼を繰り返すものです。10代に多く原因は大腿骨顆部形成不全、脛骨粗面外方偏位、外反膝、全身関節弛緩性などがあげられます。大腿四頭筋強化が有効です。
別名、タナ障害とも呼ばれます。膝蓋内側滑膜ひだの肥厚が原因であり、運動時の膝関節内側の痛み、引っかかる感じなどの症状があります。
高齢者に多く発生しロコモティブシンドロームの原因となる代表的な疾患です。長時間座った後の立ち上がりや歩き初めに痛みを訴えることが多いです(スターティングペイン)。大部分は内側の大腿脛骨が関節が変形し痛みが発生します。症状の程度にもよりますが大腿四頭筋強化が有効です。
スキーの転倒により硬いスキー靴の上縁が支点となって起こる下腿の骨折です。典型的には横骨折(骨折線が地面と水平)になります。
スポーツ外傷の代表的な怪我で、中高年に多く発生します。大学生前後のスポーツ活動レベルが高い場合も多く発生します。
スポーツ活動中に内返しが強制されて発生し、スポーツ外傷の中で最も発生頻度が高いです。前距腓靭帯>前距腓靭帯+踵腓靭帯>前脛腓靭帯の順に損傷が多い。受傷時の応急処置(RICE)が非常に重要です。修復が不完全のままスポーツ復帰してしまうと陳旧性靭帯機能不全となり関節が緩くなってしまう恐れがあり、最終的には変形性足関節症になってしまう恐れがあります。
人口芝のフィールドでソールの軟らかいシューズを使用し、母指が過伸展強制され足部種子骨やMTP関節包損傷するものです。テーピング処置やシューズ変更も有効です。
別名、鼠径部痛症候群ともいわれ鼠径部に痛みを伴う怪我の総称です。スポーツ選手、特にサッカー選手に発生しやすいのが特徴です。同部位に痛みを訴える他の怪我(恥骨疲労骨折や筋挫傷など)との鑑別が非常に重要となってきます。体幹や股関節周辺の筋力低下や筋の拘縮、可動域低下や不良フォームなど原因は様々です。スポーツ選手に対してはフォーム改善や機能的なトレーニングを行うことが重要になってきます。
大腿骨と寛骨臼との間のインピンジメント(衝突)が原因で発生する怪我です。Pincerタイプ、Camタイプ、混合型に分けられます。股関節を屈曲、内転、内旋した際に違和感があるのが特徴です。
別名、腸脛靭帯炎とも呼ばれる怪我です。腸脛靭帯は腸骨稜から脛骨のGerdy結節に至る靭帯で、膝の屈伸時に大腿骨外側上顆を前後に移動するためそこで擦れることで痛みが発生します。長距離のランニング、O脚変形、足底が硬い靴や下り坂での練習が原因で発症します。
鵞足とは膝から5cm程下がった内側部分にあり、縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの筋が付着します。スポーツ中での股関節内転、膝関節屈曲動作を繰り返すことにより慢性的な痛みを発症します。
別名、膝窩嚢腫とも呼ばれ、腓腹筋内側頭と半膜様筋との間(膝の後内側)に発症する滑液包が炎症により大きく膨れ上がるものです。
テニスで起こりやすいスポーツ障害で、腓腹筋内側頭(ふくらはぎの内側)の肉ばなれのことです。スポーツ中での切り返し動作の際に発症しやすいのが特徴です。
別名、過労性骨膜炎とも呼ばれオーバーユース(使い過ぎ)による代表的なスポーツ障害です。下腿中央内側から遠位1/3 (内くるぶしの少し上)にかけて痛みが発生します。発生する危険因子としては回内足(偏平足)やレッグヒールアングルの増大、内側縦アーチの低下などがあげられます。筋力低下やストレッチの他に、インソールの使用も効果的です。
別名、下腿筋区画症候群とも呼ばれ筋区画の内圧が上昇することとで痛みや腫脹、つっぱり感や硬結が発生する怪我です。前方区画、外側区画、深後方区画、浅後方区画の4つに分かれており、前方区画に発生しやすいのが特徴です。骨折や筋損傷などの外傷後に発生するものとスポーツに伴う慢性的なものをあります。通常は若いスポーツ選手に多く、運動後に痛みを訴えやすいことから休息することが現場での第一選択となります。
別名、衝突性外骨腫と呼ばれ前方インピンジメント症候群に分類されます。
後方インピンジメント症候群に分類され、足関節を底屈位(伸ばす)にした際にアキレス腱周囲に痛みが発生するのが特徴です。クラシックバレエ、ダンス、サッカーなどに多く発生します。アキレス腱の怪我だと間違われやすいので注意が必要です。距骨後方に発生する三角骨(過剰骨であり健常者の10%に存在する)が原因の場合と、長母趾屈筋腱(足の親指を曲げる筋肉)のオーバーユース(使い過ぎ)が原因で発生する場合があります。
アキレス腱や周辺組織への繰り返しの負荷により発生する怪我の総称です。発症の年齢は肉ばなれよりも高く加齢による腱の変性が関連しているとも言われております。靴の不適合や筋力低下、可動域低下なども原因となります。
足底筋膜は踵骨から足趾の基節骨基部に付着する強靭な腱用組織で足のアーチを維持するのに役立っております。長距離ランナーなどの繰り返しの負荷により腱膜が変性し痛みがが発生します。症状は起立時や階段昇降時、ランニングやジャンプなどで発生します。特に起床時の一歩目で痛みが発生するのが特徴です。踵骨(かかとの骨)内側突起部に痛みがあり足趾を背屈すると痛みが増強します。原因は様々で、回内足(偏平足)やハイアーチ(凹足)、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の柔軟性の低下や靴の不適合などがあげられます。筋力強化やストレッチのほかインソールの使用も有効となります。
外力によって頭頚部に衝撃が加わり、上肢(腕)に焼けつくような放散痛が生じる状態を示します。ラクビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツにおいて発生頻度が高く、症状は数分でおさまるものから数か月持続するものまであります。①牽引型(伸ばされる)②圧迫型(圧迫される)③直達型(直接ぶつかる)の3つのパターンで発生します。受傷直後や痺れが残っている期間はコンタクト練習は控えてください。
頚椎の外傷はスポーツで発生する可能性もあり、なかでも頚髄損傷は絶対に避けなくてはならない重度なスポーツ外傷です。頚椎部で脊柱管が損傷され、脊髄に傷がつくことが頚髄損傷です。軽傷であれば、手足の痺れが出現し次第に軽快していきます。重度に頚髄が損傷してしまうと麻痺が残ってしまう可能性が高くなります。
交通事故などにおける頚椎の損傷機序をいうものであり、頚椎の急激な過伸展、過屈曲による障害を指します。
骨折、脱臼を除く筋、靭帯、神経、血管など様々な損傷が考えられます
腕神経叢および鎖骨下動・静脈が狭隙部を通過する際に圧迫され、上肢に神経症状や血行障害による疼痛や痺れなどの症状をもたらします。
何らかの要因で頚椎外側の繊維輪に亀裂が入り、その部分で椎間板に外圧が加わり中の髄核が突出することで発生します。30~50歳代に多く、誘因なく発症することがほとんどです。
悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。
飛び出す椎間板により、痺れや痛みを訴える場所も異なります。
中年~高齢の方に好発し、上肢に痛みが生じます。腕や手指の痺れが出ることも多く、痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度は様々です。
一般に頚椎を後ろへそらせると痛みが強くなり、上方を見ることや、うがいをすることが不自由になります。上肢の筋力低下や感覚の障害が生じることも少なくありません。
何らかの要因で腰椎外側の繊維輪に亀裂が入り、その部分で椎間板に外圧が加わり中の髄核が突出することで発生します。20~40歳代の男性に好発するもの特徴です。
飛び出す椎間板により、痺れや痛みを訴える場所も異なります。
加齢などの影響で変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。
脊柱管とは背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルのことで、この部分で神経が狭窄されたり神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。
腰椎椎間板ヘルニアに比べ高齢者に発症することが多く、腰を反らすと症状が悪化しやすいのも特徴です。
腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありません。
背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下に痺れや痛みが生じ歩きづらくなりますが、前かがみになったり、腰をかけたりすると痺れや痛みは軽減されます。
腰椎分離症は、骨が未発達である成長期の子どもが、スポーツなどで繰り返し腰に負担をかけることで発症することが多いです。
症状は、腰や太ももの痛みや痺れで、腰を反らせたときに痛みが増すことも特徴の一つです。
必ずしも痛みが発生する病気ではありませんが、年をとってから、腰椎分離症が原因の痛みが発生する場合もあります。
腰椎分離症を放置しておくと、脊椎すべり症の一種である分離すべり症に進行していく恐れがあります。
分離すべり症とは、骨の分離が原因で、腰椎が前方や後方にずれる疾患です。これにより神経が圧迫され、腰痛が慢性化します。
スポーツで発生しやすい怪我を中心に慢性疾患に関しても解説しております。
気になる症状がございましたら是非参考にして下さい。
骨折とは「骨組織の連続性が完全あるいは部分的に離断された状態」を指します。
骨折にも様々な種類があり、骨損傷の程度、骨折線の方向、骨折の数、外力の方向などにより名称も様々です。
脱臼とは「正常な関節面相互の解剖学的位置関係を失っている状態」を指します。
脱臼にも様々な種類があり、脱臼の程度、関節面相互の位置、脱臼数、脱臼の頻度や時期などにより名称も様々です。
打撲とは「直達外力により発生した傷口を伴わない軟部組織の損傷」を指します。
野球のデッドボールやコンタクトスポーツのももかんなどが該当します。
捻挫とは「関節に生理的な可動域を超える動きが強制され、関節面相互の解剖学的位置関係が維持されている状態」を指します。
肉ばなれとは受傷経験に基づいた通称名であり、医学的にも用いられております。 急激な筋の過伸張、筋の過大な自動収縮 (特に遠心性筋収縮)、予期せぬ筋の運動 (協調運動の失調)などによって発生する筋線維または筋膜の部分断裂、過伸長、出血のことです。 下肢の二関節筋に多く発生し、ハムストリングス(大腿の後面)が最も多く、次いで下腿三頭筋(ふくらはぎ)、大腿四頭筋(大腿の前面)に多く発生します。腓腹筋内側頭の肉ばなれは中高年に多くテニスレッグとも呼ばれます。臨床的には①軽症 (わずかな筋線維の断裂) ②中等症(部分断裂)、③重症(完全断裂)の3段階に分けられます。
骨化性筋炎は筋組織内に起こる異常骨化であり、石灰沈着とは異なり骨梁構造が認められます。発生機序に関しては不明な部分が多く打撲などの外傷により発生することが多いです。
骨組織に反復性の外力が加わることによる骨の疲労現象であり、下肢に多く発生します。
・第7頚椎棘突起疲労骨折(ゴルフ)
・尺骨疲労骨折(ソフトボール、バレーボール、剣道)
・第1肋骨疲労骨折(剣道、ウェイトトレーニング)
・第5.6肋骨疲労骨折(ゴルフ)
・第7.8肋骨疲労骨折(野球)
・腰椎分離症(野球、バレーボール)
・坐骨、恥骨疲労骨折(長距離走、卓球)
・大腿骨疲労骨折(長距離走)
・膝蓋骨疲労骨折(サッカー、走高跳)
・跳躍型腓骨疲労骨折(うさぎ跳び)
・疾走型腓骨疲労骨折(長距離走)
・跳躍型脛骨疲労骨折(走高跳、ハードル)
・疾走型脛骨疲労骨折(長距離走)
・脛骨内果疲労骨折(ラグビー)
・中足骨疲労骨折(短距離走、長距離走)
成長軟骨板(骨端線)が痛くなる阻血性骨壊死であり子供の病気です。成長が止まるにつれ痛みがなくなることが多いですが、それまでの間に、成長軟骨板(骨端線)に機械的刺激が加わることで痛みや成長障害を発生します。
・シーバー病(踵骨)
・オスグッドシュラッター病(脛骨粗面)
・シンディングラーセンヨハンソン(膝蓋骨遠位)
・ペルテス病(大腿骨頭)
・キーンベック病(月状骨)
・イズリン病(第5中足骨基部)
・パンナー病(上腕骨小頭)
・第1ケーラー病(足舟状骨)
・第2ケーラー病(第2.3中足骨)
・ショーウェルマン病(背部)
・ブロート病(脛骨近位内側)
肉ばなれと間違われやすいですが、直達外力(直接加わる外力)で発生するため異なる病態です。大腿四頭筋(ももの前の筋肉)に多く発生し、深部での筋断裂や出血が生じると肉芽組織が形成され、最終的には線維性の瘢痕組織となり、最悪の場合、骨化性筋炎(異所性骨化)という危険な病態となってしまいます。数週間たっても可動域が改善せず、打撲部に硬いしこりがみられたら骨化性筋炎(異所性骨化)を疑いましょう。
肩の使いすぎ、不良なコンディショニング、不良な投球フォームなどの要因で発生する総称的な病名です。
「肩甲上腕関節内」
・スラップ損傷(上方関節唇損傷)
・ベネット骨棘(肩関節後下方)
・腱板損傷
・腱板疎部損傷
・後方関節包拘縮 etc.
「肩甲上腕関節外」
・肩峰下インピンジメント
・上腕二頭筋長頭腱炎 etc.
上腕骨近位骨端線離開のことであり、10歳~15歳の野球少年に多く発症します。また、過度な投球や不良な投球フォームが原因であるため、利き腕に発症します。投球は禁止し、トレーニング後はアイシング(冷却)をすることが重要です。
別名、動揺性肩関節と呼ばれ肩関節の構成に関わる筋や骨に異常がないにも関わらず肩の動揺性がや不安定感があるものを指します。投球時に不安定感がある場合がほとんどで、腕を下げた状態で下方に引っ張った際に肩に隙間ができるのも特徴です。
腱板は回旋筋腱板ともいわれ、前方から肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの腱からなり、各々の腱が一体化して上腕骨頭を覆っております。関節の外転、外旋、内旋の主動作筋は三角筋や大胸筋など表層の筋であり、腱板の主な作用は上腕骨頭を関節窩に押しつけ、安定性をもたらすことです。特に棘上筋は損傷を受けやすく、不調和な肩外転運動を繰り返すことが原因です。
野球選手に多く、肩関節の後下方に骨増殖による骨棘形成ができてしまう怪我です。症状が悪化するとクアドリラテラルスペースにおける腋窩神経が圧迫され肩の外側に痛みが出てしまう場合もあります。
野球選手に多く、投球動作時のコッキング期後半に肩関節が外転、外旋が強制されて発生することが多いです。痛みは投球動作のコッキング期からフォロースルー期に多く、肩の前側に発生します。
腱板(棘上筋が1番多い)や肩峰下滑液包が烏口肩峰アーチに繰り返し衝突することで発生します。投球動作ではコッキング期の最大外旋位から内旋位に向かう時に烏口肩峰アーチに擦れて発生することが多いです。また、水泳のクロールやバタフライでも発生することが多いです。症状は上肢(腕)を肩の高さより高く上げた時に痛みが出るのが特徴です。
別名、凍結肩や肩関節周囲炎とも呼ばれ、40歳以降に好発するため加齢や過労による肩関節複合体の変性が原因だといわれております。急性的に発症する場合と慢性的に発症する場合があります。炎症期→拘縮期→解氷期といった経緯をたどることが多く、症状によっては1年以上かかる場合も少なくありません。
石灰沈着性関節周囲炎とも呼ばれ、主に肩関節周辺にアパタイト結晶(カルシウムとリンを含む結晶)が沈着し炎症を引き起こすものです。40歳以上の女性に多く、症状は夜間に突然始まることが多く、痛みにより肩を全く動かせない場合もあります。
野球肘は投球動作に繰り返しによって起こる肘関節障害に対する総称的病名で、その中でも発育期に発生する骨端線の損傷を伴うものをリトルリーガーズエルボーと呼びます。障害される部位により内側型、外側型、後方型に分けられます。内側型では、前腕の屈筋群と円回内筋の繰り返しの張力によって起こる上腕骨内側上顆炎や骨端線離開、尺側側副靭帯損傷、骨端核異常などがあります。外側型では、橈骨頭からの圧迫力や回旋力繰り返し加わり上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、関節内遊離体(関節ねずみ)などが発生いたします。後方型では、加速期からフォロースルー期にかけて牽引力や張力により肘頭疲労骨折や上腕三頭筋炎、肘頭骨端線閉鎖遅延などがあげられます。
テニス肘は肘関節外側の伸筋腱付着部で発生する変性とオーバーユース(使い過ぎ)に起因する怪我を指します。特にテニスのバックハンドで痛みが発生することからテニス肘と言われております。もちろん、テニス以外の日常生活でも発生し、女性に多いのも特徴です。
手根管は手の平側にある屈筋支帯と手根骨で形成されるトンネルのことで、ここで正中神経が圧迫されることで手の平側が痺れるものを手根管症候群といいます。痺れは早朝に強く、手を振ることで軽減し、小指~薬指の半分は痺れないのが特徴です。
別名、尺骨神経管症候群とも呼ばれます。ギヨン管は手の平の小指側にある(豆状骨と有鉤骨により構成)トンネルのことで、ここで尺骨神経が圧迫され手の平側が痺れるものをギヨン管症候群といいます。手をつくスポーツや、長時間のサイクリングなどで発症することが多く、小指~薬指の半分まで痺れるのが特徴です。
手の屈筋腱(指を曲げる筋肉のスジ)に発症する狭窄性腱鞘炎で、MP関節掌側(指の付け根の手の平側)に発症します。女性に多く、母指(親指)に最も多く発症するのが特徴です。
DIP関節(指の第一関節)の変形性関節症です。初期は痛みや熱感、腫脹などの炎症症状を伴いますが、DIP関節背側(手の甲側)の骨性隆起が形成され変形が完成すると炎症症状は消失することが多いです。
PIP関節(指の第二関節)の変形性関節症です。初期は痛みや熱感、腫脹などの炎症症状を伴いますが、DIP関節背側(手の甲側)の骨性隆起が形成され変形が完成すると炎症症状は消失することが多いです。
投球動作の際に上腕骨に回旋力がかかり発生するものです。青壮年男性に多く、さらには草野球で好発することから筋力や投球フォームが原因であることが多いです。一度の大きな外力で発生するものと疲労性で発生するものに分かれます。
拳の突きによって起こる中手骨頚部骨折で骨折部より遠位(指側)が掌側(手の平側)に転位する変形が見られます。第5指に最も多く発生します。
ボクシングや空手など拳を握って殴打した際に生じるMP関節背側矢状索と関節包の損傷をボクサーズナックルといいます。約半数に伸筋腱(指の甲側のスジ)の脱臼を伴います。
スキーのストックによって母指MP関節が橈屈強制されて尺側側副靭帯が損傷することからスキーヤー母指と言われております。同様な損傷がバレーボールやバスケットボールでも発生します。断裂した尺側側副靭帯が母指内転筋筋膜を乗り越えることがあり、これをステナー損傷と呼びます。この場合は手術が適応になるほどの危険な状態です。
別名マレットフィンガーと呼ばれ、指尖部または背側から加えられた外力によってDIP関節が急激に屈曲強制されることにより発生し、野球やバレーボールなどの球技に多く発生します。ほとんどが非開放性損傷で痛みを伴うことが少なく、放置されてしまうことも少なくありません。
ラグビーなどの相手のジャージをつかんでDIP屈曲位で力を入れている指が過伸展される状態で発生します。深指屈筋腱の末節骨付着部で裂離骨折を伴う場合もあります。環指(薬指)に最も多く発生します。
骨盤には下肢の筋が付着しており、スポーツによる裂離骨折の好発部位です。
上前腸骨棘裂離骨折は骨盤裂離骨折の中で最も多く発生し、縫工筋や大腿筋膜張筋の牽引力により発生します。14歳~16歳に多く、大半は短距離の全力疾走中、次いでスタートダッシュ時にみられます。
下前腸骨棘裂離骨折は大腿直筋の牽引力により発生します。年齢は同じくらいでサッカーボールを蹴った際や跳躍の着地の際に発生することが多いです。
坐骨結節裂離骨折はハムストリングスの牽引力により発生し大きなストライドでのダッシュやハードルで大きく開脚した際などに発生します。安静肢位が保たれにくいため骨癒合が遅延することも少なくありません。
関節軟骨の直下で骨組織が関節軟骨とともに離断するもので、スポーツをしている20代に好発し男性の方が多いのが特徴です。15%~30%の確率で両膝に発生し、大腿骨内側顆部に多く発生します。
前駆症状としては膝の疲労感や脱力感があり、徐々に痛みが出てきます。患部が不安定になると運動する際の痛みが強くなり、完全に離断されると膝関節の可動域制限が起こり激痛を訴えることもあります。
成長期にスポーツなどにより、膝蓋腱の脛骨付着部(脛骨粗面)に機械的刺激が生じることにより発生し、痛みや腫れが起こります。10歳~15歳に好発し、サッカーボールを蹴るような動作で痛みが発生します。膝関節を最大限曲げる時に痛みが発生することも多いです。
別名、膝蓋腱炎や大腿四頭筋腱炎とも呼ばれます。オーバーユース(使いすぎ)が原因で発生し、膝蓋骨上端部に痛みを伴います。大腿四頭筋の強化やハムストリングスのストレッチ、運動後のアイシングなどが有効です。シンディングラーセン‐ヨハンソン病も広義のジャンパー膝に含まれますが膝蓋骨下端部に痛みが発生するのが特徴です。
膝蓋骨の一部が分離してしまう病態です。原因は様々だと言われており、多くは無症状ですがスポーツなどにより分裂部に牽引力が作用した際に痛みが発生することがあります。痛みがあるものを有痛性分裂膝蓋骨と呼びます。大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチが有効です。
半月板は線維軟骨からなり、荷重を分散させるために重要な組織です。荷重された状態で内外旋の力が加わると損傷します。中節(真ん中)から後節(後ろ側)にかけて損傷しやすいのが特徴です。10歳以下の場合は円板状半月によるものを多く、形態は水平断裂になることが多いです。階段昇降やしゃがみこんだ際に痛みが生じ、膝関節が動かなくなるロッキングが発生することもあります。
膝に外反力がかかり発生し、膝の靭帯損傷の中で最も頻度が高いです。不安定感があることもありますが膝内側の痛みだけの場合が多いです。
外側側副靭帯損傷、後外側関節包、膝窩筋腱などからなる組織の損傷です。膝が過伸展、外旋強制された際に発生することが多く、後十字靭帯損傷を合併することが多いです。
ジャンプの着地や急な方向転換などで受傷することが多いです。自覚上不安定感がなくても損傷している可能性はあり、半月板損傷や関節軟骨損傷、最終的には変形性膝関節症を発症してしまう可能性があるため注意が必要です。
交通事故やスポーツ外傷などで、膝屈曲位で脛骨前方に直達外力が加わった際に受傷することが多いです。ダッシュボード損傷と呼ばれることもあります。症状は前十字靭帯損傷より軽度のことが多いのも特徴です。大腿四頭筋強化が有効です。
膝蓋骨の脱臼、亜脱臼を繰り返すものです。10代に多く原因は大腿骨顆部形成不全、脛骨粗面外方偏位、外反膝、全身関節弛緩性などがあげられます。大腿四頭筋強化が有効です。
別名、タナ障害とも呼ばれます。膝蓋内側滑膜ひだの肥厚が原因であり、運動時の膝関節内側の痛み、引っかかる感じなどの症状があります。
高齢者に多く発生しロコモティブシンドロームの原因となる代表的な疾患です。長時間座った後の立ち上がりや歩き初めに痛みを訴えることが多いです(スターティングペイン)。大部分は内側の大腿脛骨が関節が変形し痛みが発生します。症状の程度にもよりますが大腿四頭筋強化が有効です。
スキーの転倒により硬いスキー靴の上縁が支点となって起こる下腿の骨折です。典型的には横骨折(骨折線が地面と水平)になります。
スポーツ外傷の代表的な怪我で、中高年に多く発生します。大学生前後のスポーツ活動レベルが高い場合も多く発生します。
スポーツ活動中に内返しが強制されて発生し、スポーツ外傷の中で最も発生頻度が高いです。前距腓靭帯>前距腓靭帯+踵腓靭帯>前脛腓靭帯の順に損傷が多い。受傷時の応急処置(RICE)が非常に重要です。修復が不完全のままスポーツ復帰してしまうと陳旧性靭帯機能不全となり関節が緩くなってしまう恐れがあり、最終的には変形性足関節症になってしまう恐れがあります。
人口芝のフィールドでソールの軟らかいシューズを使用し、母指が過伸展強制され足部種子骨やMTP関節包損傷するものです。テーピング処置やシューズ変更も有効です。
別名、鼠径部痛症候群ともいわれ鼠径部に痛みを伴う怪我の総称です。スポーツ選手、特にサッカー選手に発生しやすいのが特徴です。同部位に痛みを訴える他の怪我(恥骨疲労骨折や筋挫傷など)との鑑別が非常に重要となってきます。体幹や股関節周辺の筋力低下や筋の拘縮、可動域低下や不良フォームなど原因は様々です。スポーツ選手に対してはフォーム改善や機能的なトレーニングを行うことが重要になってきます。
大腿骨と寛骨臼との間のインピンジメント(衝突)が原因で発生する怪我です。Pincerタイプ、Camタイプ、混合型に分けられます。股関節を屈曲、内転、内旋した際に違和感があるのが特徴です。
別名、腸脛靭帯炎とも呼ばれる怪我です。腸脛靭帯は腸骨稜から脛骨のGerdy結節に至る靭帯で、膝の屈伸時に大腿骨外側上顆を前後に移動するためそこで擦れることで痛みが発生します。長距離のランニング、O脚変形、足底が硬い靴や下り坂での練習が原因で発症します。
鵞足とは膝から5cm程下がった内側部分にあり、縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの筋が付着します。スポーツ中での股関節内転、膝関節屈曲動作を繰り返すことにより慢性的な痛みを発症します。
別名、膝窩嚢腫とも呼ばれ、腓腹筋内側頭と半膜様筋との間(膝の後内側)に発症する滑液包が炎症により大きく膨れ上がるものです。
テニスで起こりやすいスポーツ障害で、腓腹筋内側頭(ふくらはぎの内側)の肉ばなれのことです。スポーツ中での切り返し動作の際に発症しやすいのが特徴です。
別名、過労性骨膜炎とも呼ばれオーバーユース(使い過ぎ)による代表的なスポーツ障害です。下腿中央内側から遠位1/3 (内くるぶしの少し上)にかけて痛みが発生します。発生する危険因子としては回内足(偏平足)やレッグヒールアングルの増大、内側縦アーチの低下などがあげられます。筋力低下やストレッチの他に、インソールの使用も効果的です。
別名、下腿筋区画症候群とも呼ばれ筋区画の内圧が上昇することとで痛みや腫脹、つっぱり感や硬結が発生する怪我です。前方区画、外側区画、深後方区画、浅後方区画の4つに分かれており、前方区画に発生しやすいのが特徴です。骨折や筋損傷などの外傷後に発生するものとスポーツに伴う慢性的なものをあります。通常は若いスポーツ選手に多く、運動後に痛みを訴えやすいことから休息することが現場での第一選択となります。
別名、衝突性外骨腫と呼ばれ前方インピンジメント症候群に分類されます。
後方インピンジメント症候群に分類され、足関節を底屈位(伸ばす)にした際にアキレス腱周囲に痛みが発生するのが特徴です。クラシックバレエ、ダンス、サッカーなどに多く発生します。アキレス腱の怪我だと間違われやすいので注意が必要です。距骨後方に発生する三角骨(過剰骨であり健常者の10%に存在する)が原因の場合と、長母趾屈筋腱(足の親指を曲げる筋肉)のオーバーユース(使い過ぎ)が原因で発生する場合があります。
アキレス腱や周辺組織への繰り返しの負荷により発生する怪我の総称です。発症の年齢は肉ばなれよりも高く加齢による腱の変性が関連しているとも言われております。靴の不適合や筋力低下、可動域低下なども原因となります。
足底筋膜は踵骨から足趾の基節骨基部に付着する強靭な腱用組織で足のアーチを維持するのに役立っております。長距離ランナーなどの繰り返しの負荷により腱膜が変性し痛みがが発生します。症状は起立時や階段昇降時、ランニングやジャンプなどで発生します。特に起床時の一歩目で痛みが発生するのが特徴です。踵骨(かかとの骨)内側突起部に痛みがあり足趾を背屈すると痛みが増強します。原因は様々で、回内足(偏平足)やハイアーチ(凹足)、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の柔軟性の低下や靴の不適合などがあげられます。筋力強化やストレッチのほかインソールの使用も有効となります。
外力によって頭頚部に衝撃が加わり、上肢(腕)に焼けつくような放散痛が生じる状態を示します。ラクビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツにおいて発生頻度が高く、症状は数分でおさまるものから数か月持続するものまであります。①牽引型(伸ばされる)②圧迫型(圧迫される)③直達型(直接ぶつかる)の3つのパターンで発生します。受傷直後や痺れが残っている期間はコンタクト練習は控えてください。
頚椎の外傷はスポーツで発生する可能性もあり、なかでも頚髄損傷は絶対に避けなくてはならない重度なスポーツ外傷です。頚椎部で脊柱管が損傷され、脊髄に傷がつくことが頚髄損傷です。軽傷であれば、手足の痺れが出現し次第に軽快していきます。重度に頚髄が損傷してしまうと麻痺が残ってしまう可能性が高くなります。
交通事故などにおける頚椎の損傷機序をいうものであり、頚椎の急激な過伸展、過屈曲による障害を指します。
骨折、脱臼を除く筋、靭帯、神経、血管など様々な損傷が考えられます
腕神経叢および鎖骨下動・静脈が狭隙部を通過する際に圧迫され、上肢に神経症状や血行障害による疼痛や痺れなどの症状をもたらします。
何らかの要因で頚椎外側の繊維輪に亀裂が入り、その部分で椎間板に外圧が加わり中の髄核が突出することで発生します。30~50歳代に多く、誘因なく発症することがほとんどです。
悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。
飛び出す椎間板により、痺れや痛みを訴える場所も異なります。
中年~高齢の方に好発し、上肢に痛みが生じます。腕や手指の痺れが出ることも多く、痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度は様々です。
一般に頚椎を後ろへそらせると痛みが強くなり、上方を見ることや、うがいをすることが不自由になります。上肢の筋力低下や感覚の障害が生じることも少なくありません。
何らかの要因で腰椎外側の繊維輪に亀裂が入り、その部分で椎間板に外圧が加わり中の髄核が突出することで発生します。20~40歳代の男性に好発するもの特徴です。
飛び出す椎間板により、痺れや痛みを訴える場所も異なります。
加齢などの影響で変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。
脊柱管とは背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルのことで、この部分で神経が狭窄されたり神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。
腰椎椎間板ヘルニアに比べ高齢者に発症することが多く、腰を反らすと症状が悪化しやすいのも特徴です。
腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありません。
背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下に痺れや痛みが生じ歩きづらくなりますが、前かがみになったり、腰をかけたりすると痺れや痛みは軽減されます。
腰椎分離症は、骨が未発達である成長期の子どもが、スポーツなどで繰り返し腰に負担をかけることで発症することが多いです。
症状は、腰や太ももの痛みや痺れで、腰を反らせたときに痛みが増すことも特徴の一つです。
必ずしも痛みが発生する病気ではありませんが、年をとってから、腰椎分離症が原因の痛みが発生する場合もあります。
腰椎分離症を放置しておくと、脊椎すべり症の一種である分離すべり症に進行していく恐れがあります。
分離すべり症とは、骨の分離が原因で、腰椎が前方や後方にずれる疾患です。これにより神経が圧迫され、腰痛が慢性化します。